テーブルに置かれたケーキに思わず目が釘付けになる。
レモンの爽やかな香りとクリーム色の滑らかな肌……
裕太「お、美味しそう……レアチーズケーキ?」
櫻井「当たり。こっちのいちごジャムも手作りだそうだ。
お好みでどうぞ」
裕太「すごい……食べてみていいか?」
櫻井「どうぞ。俺の分も食べていいぞ」
裕太「わーい! いただきまーす!」
お言葉に甘えて、パクッと一口。
ああー……レモンのほどよい酸味とチーズの濃厚な味わい……。
甘過ぎず軽過ぎず、なんて上品な味なんだー……。
思わず恍惚としていたオレに櫻井が苦笑する。
櫻井「……くくっ。そんなに美味いか?」
裕太「おいしいよー!!
こんなの食べないなんて櫻井は絶対損してる!」
櫻井「……あの人の作ったものは、どうもな。
味がいいのは分かってるんだが」
何だかよく分からないことを櫻井は言う。
うう、それにしても美味しい……あっという間に食べちゃうよー。
櫻井「……人間がものを食べる姿は醜いが……お前は可愛いな。藍川」
櫻井がぼそっと何かを呟いた。
思わず、すでに空になった皿から顔を上げて櫻井を見つめる。
櫻井は一口も食べずに、
オレが夢中になって食べてるのをひたすら眺めていたらしい……。
裕太「は、恥ずかしいなあ! そんなに見るなよ」
櫻井「嫌か?」
裕太「い、嫌って言うか……」
そんなの、じっと見つめられてたら、そりゃキマリが悪いよ……。
裕太「……楽しいのか? そんなに見てて」
櫻井「ああ。楽しい」
裕太「櫻井って……やっぱり、変」
思わず赤くなって俯いた。
少しは櫻井のこと知ったようなつもりでいたけど……、
全然櫻井の中身は解明できてない。
何考えてんのか、頭の中見てみたいなあ……。
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