そのとき、ついと滝沢の指先がオレの耳朶を撫でた。
首筋がゾクッとして、思わず身を竦ませる。
裕太「な、なに?」
滝沢「そう言えばお前、ピアスとか開けねえの?」
裕太「え? ああ、うん。そうだな。あんまり今まで興味なかったから」
ふにふに耳朶を弄りながら尋ねて来る。……うー。くすぐったい。
滝沢「ふーん。お前なら似合うよきっと。オレが開けてやろうか?」
そう言って爪の先できゅっと肉をつまんでくる。
その感触に、秘かに背筋がぞくっとした。
裕太「えっ……い、嫌だよ。痛そうだもん」
滝沢「別にそんなに痛くねえよ。一瞬だし。ちゃんと冷やせば平気だって」
裕太「こ、怖いなあ……」
滝沢「まあ、お前がやるってんならピアスくらいオレが買ってやるよ。
似合いそうなの見繕ってやるからさ」
翠色の瞳に笑みが浮かぶ。滝沢はしつこくオレの耳を撫でている。
裕太「うーん……考えとく」
滝沢の指にゾクゾクするのが嫌で、オレはさり気なくその腕から逃れた。
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