- 【アヅマ】「こ、こ、このスーツケース、な、なに入ってんの……。
つかクソ重っ……」
- 【少年】「そうなんだ。重いんだよね。だからその……大丈夫?
無理しないで。やっぱオレが持つよ」
- 【アヅマ】「い、いや、こんくらい屁でも……ねえ……から……」
- つって強がりはすっけど、正直限界ギリギリだった。
背中にも腕にもずっしりくるこの重さに、俺みてえな
シティボーイが耐えられるわけがねえ。
- 【アヅマ】「ぐおお……!」
- ようやく踊り場―――に片足をついた瞬間。
背中にしょってる大荷物がずり下がってきて、
後頭部を滑る。
前屈状態になった俺は、そのまま前につんのめってく。
- 【アヅマ】「うお」
- なんとか転倒を免れようとして、咄嗟にスーツケースの
取っ手を掴む―――
つもりが、変なとこを握っちまったらしい。
蓋がパカッと開いちまった。
- 【少年】「あっ……!?」
- 【アヅマ】「ぬわあああああ!」